工事費精算協議にあたってのやりとり

8/17岐阜市返答書類▼

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9月末の竣工に向けて、工事費を精算するために、"設計変更等に伴う追加増減工事の見積書を変更項目ごとに提出して欲しい"との指示を8月2日に岐阜市公共建築室より受けました。そこで当JVは、8月9日、100を越える変更項目ごとの見積(見積金額 9,817,500円)を岐阜市公共建築室に提出しました。枚数にして90枚に及ぶものです。これに対し8月16日、岐阜市公共建築室から資料による返答 がありましたが、それはたった1枚で、見積金額マイナス1,500,450円でした。

岐阜市の資料は変更項目ごとではなく工種別(土工事,コンクリート工事,型枠工事…など)に増減金額を書いたもので、JVが提出した見積書にはまったく 対応していなかったのです。"見積書を変更項目ごとに提出するように"とは岐阜市の指示だったにも関わらずです。

表1ペントハウス梁符号変更▼

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変更項目の中には、数工種がまざっている ものもあります。例えば、表1の『ペントハウス梁符号変更』では、鉄筋材料・加工組立・鉄筋運搬費は鉄筋工事に、型枠は型枠工事に、コンクリート材料・コ ンクリート打手間はコンクリート工事にあたります。つまり、岐阜市の資料では、"JVが提出した見積書のどの変更項目のどの部分が認められ、どの部分が認 められないのか"がまったく分からないのです。

このような状況のままでは、工事費を精算するための協議など始められないと、JVが岐阜市公共建築室に申し入れたところ、8月23日、JVの提出した見積 書と対応させた見積書による返答がなされました。

8/23岐阜市返答資料▼

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しかしながら、その見積書の単価には、黒く塗りつぶされている箇所が多数あるなど、やはり協議ができる内 容ではありませんでした。

8月26日市契約室にFAXで再依頼

8月26日、当JVは市契約室に対して、協議のために必要な情報(単価、またはそれを知る方法)を教示してもらえるようFAXで依頼しました。

8月27日市契約室長よりFAXによる回答

8月27日午前、市契約室長より「単価が公開できない項目があることを理解いただきたい、また、公開された単価だけで十分協議ができる」というFAXが JVに届きました。またその後、市契約室長から、協議実施を求める電話が入りました。その電話において、JVは契約室長に対して、「この状態で協議はしま せん。但し、協議実施のための下打ち合わせには応じます」と返答しました。

すると、同日午後、契約室長、公共建築室長ら計6名の市職員が突然、希望社を訪れ、「契約変更書」と題された書類の受領を求めました。しかし、そのとき 社内にはこの件で対応できる者がおらず、当社(JV)は受け取りを断わりましたが、市職員はその書類を封筒に入れ、受付窓口に置いてその写真を撮り、その 封筒を置いたまま帰ってしまいました。

そのため当社従業員は、この後すぐ社長桑原へこの旨を報告し指示を受け、この封筒を開封せず、市役所へ行き、契約室長へ返却しました。

JVは、なぜ協議開始前に下打ち合わせを依頼するのか?

コミセン工事請負契約書の「請負代金額の変更方法等」第24条に、『請負代金額の変更については甲(発注者)乙(請負者)協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、甲が定め、乙に通知する』と記載されています。

JVは、「市の見積根拠がわからない状態では協議のしようがない。協議のための情報を開示してほしい」と依頼しているにも関わらず、市は、「公開された 単価だけでも十分協議ができる」と主張します。そのためJVは、"なぜ、この状態で協議ができると主張するのか。どんな協議の仕方をするのか"協議を開始 する前に、市から説明をいただく場(下打ち合わせ)を求めたのです。

8月31日市行政管理部部長に文書にて申し入れ

その後JVは、契約室を統括している市行政管理部部長に対して、これまでの経緯と見解を伝え、下打ち合わせを実施し、一定の合意のもので協議を行いたいと文書で申し入れました。市行政管理部部長に送付した文書をご紹介しています。

9月1日市行政管理部部長より8月31日の文書に対する回答

翌日、8月31日の文書に対して、市行政管理部部長より「8月27日に、協議開始日を8月30日、協議期限を9月13日とすることを送達した。工事請負契約約款第24条に規定する協議は、すでに開始されていると判断しておりますので、さらに担当者とのご協議をお願いしたい」との回答がありました。市行政管理部部長の回答をご紹介しています。

9月1日〜9月8日協議開始に至るまでのやりとり

9月1日の行政管理部長の文書に対し、9月3日、JVは、協議開始をJVは承知していないこと、そして、協議を始められない理由を再三述べているにもかかわらず、市は何ら実質的対応をせずに、JV の意向を無視して強引に協議開始を既成事実にしようとしていることから、まず市が一方的に主張を押し付け、強引にことを進めようという姿勢を改めない限 り、JVは協議の席につくことができないことを伝えました。市行政管理部部長に送付した文書をご紹介しています。

その後、9月7日、JVは行政管理部長より、「変更協議は一方的な通知の場ではなく協議の場である」という回答を得ました。市行政管理部部長の回答をご紹介しています。

そこで、9/8、JVは、ひとまず市の見積内訳書で協議の席につき、具体的な項目についての疑問はその席で申し述べるこ とを伝え、協議期限9/13を撤回しJVが協議にはじめて出席する日をもって協議開始日とすること、及び変更金額について一方的な押し付けでなくその金額 の出し方そのものについても協議することが認められるのであれば、協議に出席することを申し入れました。そして、市はこの申し入れを認め、ようやく協議が 始まることになりました。市行政管理部部長に送付した文書と、市行政管理部部長の回答をご紹介しています。

9月13・16・22・24日工事費精算のための協議・・・協議不成立

9/13、16、22、24日、工事費精算のための協議が、市とJVの間で行われました。しかし、金額の合意には至らず、協議期限を迎えることになりました。※協議での、変更数量及び金額調整により、最終的にそれぞれの請負代金変更金額は、市『▲12千円』、JV『7,970千円』になりました。

協議不成立の理由

変更金額の出し方そのものについてJVと市で一致しない

JVが主張する変更金額の出し方

原請負契約に記載されていない新たな部材等については、JVが実際に専門工事会社と取り決めした金額(単価)を基に、原契約に記載されている部材等の数量 変更については、入札時に請負者が提示した見積内訳書の金額(単価)を基に、市とJVで協議をするべき。

市が主張する変更金額の出し方

原契約にない新たな部材等については市も検討する。しかし、原契約に記載されているものの数量変更については、市の単価(※)で増減するのが大原則で、この金額については一切ゆずれない。

※市の単価で開示されているものは「建設物価」及び「積算資料」等の刊行物を参考に決定した単価で、黒塗り単価は市が市場見積により決定した単価。ここからさらに、落札率(コミセン工事は76.3%)をかけた単価で増減金額を決める、と市は主張している。

コミセン工事の請負契約には、変更金額の算出法についての明記はありません。しかし、市は、JVが入札時に提出した見積内訳書は認められず、市の単価を採用してもらうしかないと主張します。

例えば、可動テントの取り止めについて、JVは入札時の内訳に、可動テントの設置費用を135万円としていました。そのため、JVは、可動テント取り止 めによる変更金額を▲135万円としています。しかし、市は、役所単価により変更金額は▲283万円とする、と主張します。さらに、市はJVに対し、黒塗 りにしていた単価を最後まで開示しませんでした。

JVは、契約上何の根拠にもならない市の単価で請負代金が変更されることに合意できません。

結局、市とJVの間で変更代金の算出方法に合意をみず、請負代金変更協議は整いませんでした。

この件についてJVは、JVの主張が認められず、岐阜市の提示する金額で支払いがなされれば、「フラットデッキ使用不承諾」に引き続き、損害賠償を求め て、中央建設工事紛争審査会に仲裁を申請することにします。また、動きがあり次第ご報告します。

お知らせ

JVは2005年12月に、この問題について中央建設工事紛争審査会に仲裁申請をしました。そして審理の結果、2006年11月30日、「仲裁判断(裁判所の判決にあたるもの)」が出されました。この紛争の概要と紛争審査会での両者の主張、および仲裁判断について、「請負代金変更に関する、中央建設工事紛争審査会への仲裁申請について」でご報告しています。

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