低入札価格調査実施の理由

低入札価格調査というのは、発注者が入札前に定めた基準以下の価格で落札した場合に実施される調査。調査の結果によっては落札を取り消される事もあります。実施の目的は不当なダンピングを防止するためです。

当社・丸泰JVは、5月23日に行われた低入札価格調査聴聞会を受けた後、入札価格の正当性は認められ、コミセン工事の受注に至りました。しかし、公共建築室は、調査実施の理由を教えてくれません。そこでJVでは情報公開制度を利用することにしました。行政管理部契約室に請求したのは11月20日。12 月2日に低入札価格調査要綱と低入札価格調査入札価格調査票が公開されました。これらの文書と契約課職員の説明によると、今回調査が入ったのは、JVの落 札価格が『調査基準価格』を下回ったためとのこと。ところが、調査票に記載してある肝心の基準価格が黒く塗りつぶされています。契約室職員の話では、開示 を拒んだのは公共建築室とのことです。

調査基準価格は調査要綱によると建設工事の場合は、直接工事費の額。調査基準価格を公開しない理由としては『市の機関が行なう事務または事業に関する情 報であって、契約にかかる事務に関し、地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害する恐れがあることが明らかなものに該当するため』 と、記述されていますがよく分かりません。

調査基準価格が具体的にいくらなのか、それが示されなければ調査実施の理由がわかりません。JVでは今度は調査基準価格の開示を求めます。

7月5日岐阜市が低入札調査基準価格非公開を取り消し、公開することを決定する

コミセン工事における低入札調査基準価格の非公開に対して、当社は、1月30日、岐阜市情報公開条例に基づき不服申立てを行いました。

これに対し、4月4日、岐阜市情報公開・個人情報保護審査会(以下、審査会という)が開会され、審査委員による希望社と岐阜市双方からの意見聴取と質疑 応答がなされました。※審査会とは、不服申立について、実施機関(今回の場合は岐阜市)の諮問に応じて審査を行い、又は情報公開の推進に関し意見を具申す るため設置する会。市長が任命する学識経験者5人以内で組織される。

審査の結果、6月19日、審査会より「調査基準価格の非公開を取り消し、公開すべきである」との答申が出され、この答申を受け、7月5日、岐阜市は調査基準価格の非公開を取り消し、公開する決定を出しました。

審査会の答申は当社の主張をほぼ代弁してくれました。答申を受け、基準価格は公開され、基準より落札価格が下回っていたことが明らかになりました。

岐阜市の"非公開"の主張に対する審査会の答申≪概要≫

主張1
調査基準価格は、直接工事の項目ごとの設計単価に数量を乗じた総額である。設計単価決定のひとつに、業者徴収見積に、市独自に作成した掛け率を乗じて算出 する方法もある。よって、調査基準価格を公表すれば掛け率を類推することができ、設計金額を引き上げるために、業者が見積金額を高くするおそれがある。
答申
本件工事において、業者見積よって設計した項目は500程度ある。調査基準価格を公開しても個々の掛け率までも推測されるとは到底考えられない。また、見 積を依頼された業者は、掛け率がわからなくても引き上げは可能であると考えられ、設計金額の引き上げに直接結び付くとは考えられない。
主張2
調査基準価格を公開すると、契約内容に適合した履行を行うつもりがない業者が、調査を回避して入札し、市が不利益を被る。また、調査回避により落札価格の高止まりにもなる。
答申
低入札調査に該当した事例は、実際に相当数存在する。それによって落札価格が高止まりした事実はなく、調査基準価格の公開と落札価格の高止まりに因果関係 があるとは認められない。また、低入札調査は契約不履行の恐れのある業者を調査するのが主旨だが、自信のある業者なら調査を受けるだけであり、市の主張は 非公開の理由として説得力があると認められない。

審査会の開催に際して、2月20日に岐阜市が審査会に提出した陳述書の全文をご紹介しています。(調査基準価格を非公開にした理由が述べられています。)

7月5日に岐阜市が審査会の答申を受けて出した決定書の全文をご紹介しています。

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