岐阜市が審査会に提出した陳述書の全文

岐阜市行契第148号
平成16年2月20日

岐阜市情報公開審査会
会長 榊原秀訓様

岐阜市長 細江茂光

陳述書

平成16年2月10日付け岐阜市行政第145号で依頼のありました件について、下記のとおり陳述します。

1 一部非公開処分とした理由

(1)本件公文書の内容

本件異議申立てに係る公文書である「低入札価格調査票」(以下「本件公文書」という。)は(仮称)北東部コミュニティーセンター及び岐阜北消防署三輪出張 所建築主体工事の落札者を決定するにあたり、入札金額が調査基準価格を下回り、落札者の決定が保留されたため、調査基準価格を下回った金額で申込みをした 者のうち最低の価格で申込みをした者に対し、地方自治法施工令(以下「令」という。)第167条の10の規定に該当するか否かについて、岐阜市低入札価格 調査要綱(以下「要綱」という。)第8条第2項の規定による低入札調査員会の審査を受けるため、事情聴取した結果を要綱第7条第1項の規定により行政管理 部長がまとめ、作成したもので、工事等名、調査対象者名、入札価格、調査基準価格、予定金額、総合判定等が記載されている。

(2)一部非公開の部分

調査基準価格

(3)一部非公開決定をした理由

本件公文書に記載されている建設工事における調査基準価格とは、要綱第4条の規定により、本市が算出した設計金額の内訳のひとつである直接工事費の額と定 められており、この額を下回った額で入札がなされた場合には「低入札価格」と判定され、契約が保留され、調査がなされるものである。

直接工事費の額は、項目ごとに設計単価に数量等を乗じて得た額を合計したものであるが、岐阜市では、建設工事にのうち建築工事においては、設計単価を積 算資料、建設物価等の刊行物、業者見積り等を利用し決定しており、このうち業者見積りにより決定する設計単価は、複数の業者から見積りを徴収し、その中で 最低である業者の単価に、市が独自に市場の動向を勘案して作成した「市場見積単価掛率表」による掛け率を乗じて算出している。したがって、調査基準価格が 公表されれば、建築工事を請け負う業者であれば周知されている設計に係る単価からその掛け率を類推することができ、設計金額を引き上げるために、徴収する 業者見積金額を高くするおそれがある。

建設工事にうち土木工事については、県において非公開として取り扱われている設計単価表を用いており、その積算合計である設計金額も非公開として取り扱われている。

また、低入札価格調査制度は、令第167条の10第1項(令第167条の13の規定により準用する場合を含む。)の規定により契約の内容に適合した履行 がなされないおそれがないこと及び公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがなく、かつ、著しく不適当でないことを確認し、本市が不利益を被らないように するものであり、調査基準価格は、低入札価格調査に入るか入らないかの区分を示すものである。したがって、調査基準価格が公開されると、契約の内容に適合 した履行を行わないおそれ等のある業者が調査基準価格に近い金額で入札を行い、調査を回避してしまうことにより、結果として、契約の内容に適合した履行が 行われず、本市が不利益を被るおそれがある。

そのようなおそれのない業者であっても、入札に参加する業者に自己の事情により市による調査を避けたい考えがあるならば、調査基準価格を公表した場合に は、調査価格以下の入札はしないため、結果として落札価格が高止まりすることになり、本市に不利益を生ずるおそれがある。

以上により、本件調査基準価格の情報は、岐阜市情報公開条例第6条第1項第4号イ(2)に規定する市の機関が行う事務又は事業に関する情報であって、公 開することにより、契約に係る事務に関し、地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがあることが明らかなものに該当するた め非公開としたものである。

2 予定価格と設計金額について

予定価格は、設計金額の端数処理をしたもので近似値であるが設計金額ではない。また、予定価格は試行により公表しているが、設計金額は非公表としている。