「建築基準法再改正を考える集い」開催報告
2007年6月に施行された改正建築基準法の再改正を目指す会「建築基準法再改正を考える集い」を、2008年9月13日、希望社本社にて開催しました。
当日は計78名[一般参加者(建築実務者、研究者、弁護士など)、マスコミ取材者、当社社員]が集まり、各自が思いを報告。再改正に向けての話し合いをしました。
集いの概要
1)呼びかけ人挨拶・基調講演
桑原耕司(希望社代表取締役)「改正建築基準法の問題と再改正について」
草柳俊二氏(高知工科大学教授)「日本の建設産業が抱える問題について」
木下敏之氏(元佐賀市長・木下敏之行政経営研究所所長) 「建築基準法再改正を考える 〜誰が官製不況をもたらしたのか?〜」
2)6グループに分かれて分科会(法改正の影響について意見交流)
3)全体意見交流
[主な意見]
- 今日の技術水準に適応しない形骸化していた審査を、法改正で厳格化したため、ますます現実と乖離したものになってしまった
- 法改正の結果、偽装防止に意味があるとは思えない膨大な雑務が発生し、建築技術が向上しないばかりか、業界には諦めと廃業が続いている
- 基準法の運用は、技術者・専門職の教育過程を含めた抜本的な見直しが必要
- 日本の建設産業は官主導型の産業構造からいまだに脱却できていない。契約に関する意識を向上させ、プロフェッショナルを活用する産業構造をつくることが必要。確認申請、瑕疵担保など建築構造物の品質管理問題はこれらの抜本的改革策なくして解決しない
- 基本的に役人にはコスト意識がない。法改正による経済的被害に対する認識もないだろう。役人は失敗しても責任をとらされないという慣例がある。それを許してきた責任が民間にはある。本当に法改正を望むなら業者側から声をまとめて議員や首長に声を上げていくべきだ
- 建設業も正統な行動哲学を養い自立した産業構造に転換しなくてはならない。そのためにも基準法の食い違いを正すよう勇気ある行動を示さなくてはならない
- 基準法は消費者の目線に立っていない
- 「書類偏重審査」が構造設計者を精神的に追い込んでいる。このままでは後継者がいなくなり、建築業界は成り立たなくなる
- 法律の改正を、国や政治家に頼るには時間がかかるし困難だ。手っ取り早いのは全国の設計士や建築業者が一斉に裁判を起し損害賠償請求をすること
- 今は人の力を借りて何とかしようという人が増えた。これでは社会は悪くなるばかり。デモなど行動を起こす必要がある
- 北海道と沖縄では気候条件が違うのだから本来なら建築方法も変えるべき。それを一括りにしてしまうのはおかしい
- 来年から施行される住宅瑕疵担保法により次は検査渋滞が起きると予測される。昨年の審査渋滞の影響がどれほど大きかったか分かっているはずなのに、変わる気配がない。今までは法律を守れば良いと思ってやってきたが、これからは声を上げないといけないと思っている。