当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
2月6日に行われた名古屋市長選挙は、河村たかしさんの圧倒的な得票で終わりました。全市議会議員を敵に回しての勝利であります。
河村さんは、住民税の10%減税をかかげ、地方政党「減税日本」を市民の手により立ち上げました。これは選挙戦に勝つための手練手管ではなく、継続して政治を変えていこうという運動だと思います。
庶民のために働くことを忘れ、高い議員報酬を得るために職業化した議員達に、政治を任せるわけにはいかない。この運動は、こんな思いをもつ庶民が、河村氏をリーダーに立ち上がり起こした政治行動であり、まさに彼らが言うように“庶民革命”であります。
わが国の政治が行き詰っています。まともな政策が実施されません。政党政治が限界にきているからです。
30年ほど前までは、日本の政治は、裏金造りの名人で子分にカネをばらまく親分である派閥の領袖によってなされてきました。
その後、国民の批判が高まり裏金造りはやりにくくなるのですが(小沢一郎氏を最後の名人と崇め奉って、終わりになるでしょう)、やはり政治にはカネがかかる、カネがなくては政治ができない。そこで考えられたのが、政治屋による錬金術、政党助成金制度です。
これは、裏金に代えて国民の税金を政治資金として政党に交付するものですが、政党と認められるためには5人以上の国会議員を擁する団体でなければなりません。5人未満では公党と認められず、小さな世論は踏みにじられ政治に反映することができないのです。
このような仕組みにより生み出されている二大政党では、いずれの党が政権をとっても代わり映えせず、激動する時代には何の役割も負うことはできません。
間もなく民主党は分裂し、菅内閣は崩壊。その先には、政党助成金に群がる議員たちによる政権協議という政党の離散集合合戦が行われるだけでしょう。何の問題解決にもなりません。
河村さんの住民税10 %減税大賛成!それは、減税こそが官僚体制を脆弱化させる妙薬だからです。
官僚体制の解体なくして財政再建はできません。増税は官僚を太らす栄養剤であり、税収を増やして財政を立て直すなど、とんでもないことです。
ただ、その財源をどうするのかということが問題にされ、減税によって公共サービスの低下が起るという批判が出ているようです。
私はこれまで、「公共工事は高すぎる。税収低下の時代に縮減するのは当然」と主張してきました。今なされている諸制限をなくし、競争的な入札(発注)をすることで、減税の財源は十分確保できるのです。
当社はこの2年間で、岐阜市の公共工事8件を平均落札率72.8%で受注しました。ところが、こんな低い数字はダンピングだというのが多くの自治体の見解で、岐阜県は最低制限価格(予定価格の85%前後)を下回る金額では受注できない仕組みを作っています。
岐阜県の「衛生専門学校工事」で、当社は本来の金額より880万円も高い金額で落札したので、返金したいと申し出ました。しかし県は、予定価格は適正、最低制限価格も同様だと主張し、返金の申し出を拒絶しました。
低落札率工事に対しては、良い工事ができない、下請会社に適切な支払がなされないと言われますが、当社の工事にこのようなことがあったのか、調査をしてほしいものです。
さて、岐阜市の09年度の市民税収は289億円でした。一方、当社が入札参加できなかった08年度の公共工事の平均落札率は89.6%で、当社の平均落札率との差は16.8%。そして市は、09年度に普通建設事業費と維持補修費合わせて207億円支出しているので、これらの事業をすべて当社のような業者に発注すれば38.8億円浮くことになり、これだけで税収の10%は十分まかなうことができます。
「くたばれ政党政治」「くたばれ官僚体制」そのためには、貰うものなら幾らでも誰彼かまわず要求し、自分の事は振返りもしない言いっぱなし市民とは一線を画した、庶民の運動が必要であります。自らの生活を小消費、質素なものに変えながら、経済成長が期待できない時代の政策を確立し新しい政治を提唱する、政治改革を進めていくことだと思います。
庶民による政治改革運動は特定の思想や政策で行っていくものではありません。1人1人が自分でできる事から始めることであり、それが連鎖していくと良いと思います。
名古屋の庶民革命の萌芽は、閉塞した政治への庶民の意思表示でした。減税エエジャナイカを全国にくり広げていけないものでしょうか?
読者のみなさまのご意見をお待ちしています。