当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
「岐阜市が希望社を6年間にわたって指名しなかったことは、悪意に基づく恣意的なものであり、市長の裁量権を逸脱又は濫用した違法なものだ」
これは、当社の全面勝訴となった11月25日の名古屋高裁の判決です。
岐阜市は上告せず、判決は確定しましたが、判決言渡し直後に「判決文を見ていないのでコメントできない」とマスコミに語った細江市長は、3週間を経過した現在も、何のコメントも出していません。
高裁の判断に従うのなら、当社に詫びの一つも入れるのが、人の道ではないでしょうか。“損害賠償額330万円を税金から支払えばそれでよい” というのでは、あまりに納得がいきません。
いずれにしても、少なくない額の金を税金から支出させる結果となるため、当社は、市民のためにその一部を市に返金することを検討します。
当社が入札に参加すると、官の示す予定価格に近い金額で特定の業者に発注できない。これが当社を排除し続けた理由です。
何が目的で官僚はこんなことをし続けるのか。数回にわたりこの欄で紹介してきましたので今回は触れませんが、当社の排除は、少ない税収を補助金や地方債で膨らませてばら撒くことが市民のためのように主張する官僚機構のトリックによって行われてきました。
「公共工事の実績がない者は指名しない」という慣行に加え、「4,500万円以上の工事を受注している者は指名しない」「工事成績評定点が60点未満の者は指名しない」「評定点65点以上でなければ一般競争入札に参加できない」等、当社を排除するための条件はすべて官僚だけで作りあげてきたものであり、一般市民はおろか議会の意思すら入っていません。
こんな官僚の恣意的判断でなされた入札排除を、とても許すわけにはいきません。
「苦しい業界は救わなければならない」「良いものができない」「下請業者の従業員の賃金が保証されない」…。市が公共工事を安く発注しない理屈を並べ立てたら、きりがありません。
入札は、多数の業者により自由に競争をさせることで安く発注するための仕組みです。この基本を無視し、高値発注を維持しようとする官僚は、自分たちが公僕と言われている意味を振り返ってみるべきです。
工事費が高止まりする状況は、談合しない会社が入札参加すれば、一瞬にして解消されます。2009年度からの当社が参加した入札では、予定価格の70%前後で落札が決まっています。
薄利ですが、予定価格の70%でも必要な利益は得られます。官僚は、業者を過保護し、国民の利益を犯し続けているのです。
あなたは民間出身で、50年に及ぶ官僚出身者による市政を変える期待の人物として登場されました。しかし、あなたの指導力で役人の働き方を変えたと思えるものは、ほとんどありません。
旧態依然とした役人のやり方と、旧い体質の市議会に乗って過ごしてきたとしか思われず、失礼ですが残念でたまりません。
当社は、あなたが市長になってから、今回の民事訴訟を起こす前に2回の中央建設工事紛争審査会への仲裁申請を行うなど、岐阜市の行政改革のための努力をしてきたつもりです。
その結果、私が関わっている建築・福祉・契約関係の一部職員たちとの間には、数年前のような役人風を吹かし通す対応ではない、協議できる関係が生まれています。
しかし、今回の訴訟での市の主張・対応を見る限り、あなたを役人の働き方を改革できる市長と期待し支援してきた私の真意は、あなたには届かなかったようです。
残る任期を、市長の役割を発揮されるようがんばってください。期待を繋いでいます。