当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
今年の4月17日、私は、衆議院「行政改革に関する特別委員会」に参考人として招かれ、「公共工事の談合問題について」というテーマで話をしてきました。今回は、そこで話した内容を編集してご紹介します。
なお、この委員会の様子は衆議院のHPでそのまま配信されていますので、ご覧下さい。
9:45〜10:00までの15分間、桑原が参考人として意見を陳述。その後桑原は、以下の議員から質疑を受け回答しています。
私は、行政改革を行なう上で、公共工事の発注や工事監理などの改革が重要であると考えています。そして、その改革を押しとどめているものは、建設業者ではなく、行政職員即ち官僚であることをここで報告し、立法の参考にしていただけたらと思っています。
公共工事改革の視点は、「良いものを安く造る」ことです。しかし、行政職員はそれに反した対策を実施しつづけています。ここでは岐阜市の問題を取り上げますが、全国各地で同様な実態があると考えられますので、岐阜市特有の問題でないという視点でお聞きいただきたいと思います。
当社は、“談合しない”ことを表明して営業している会社です。
平成13年度から岐阜市に建築工事の指名願いを提出しています。岐阜市には、平成13年から5年間で40件以上の指名を受けている会社が35社前後ありますが、当社は一度も指名を受けたことがありません。
指名がないので指名競争入札には参加できない。そこで、一般競争入札や公募型指名競争入札に参加するしかないのですが、そうしようとするとどのようなことになるのか。
これから、岐阜市公共工事の発注状況と、“談合しない”意思表明をしている建設会社の入札参加に対する岐阜市の対応の実態を報告します。
まず、岐阜市の公共工事は、圧倒的に指名競争入札で行なわれています。(表1)
また、平成13年度以降に一般競争・公募型指名競争で行なわれた入札のうち、当社が参加しないものの平均落札率は97%であり、談合が行なわれていることは明らかです。(表2)
年度 | 一般競争入札 | 公募型指名競争入札 | 指名競争入札 |
---|---|---|---|
平成13年 | 0件 | 0件 | 57件 |
平成14年 | 1件 | 1件 | 71件 |
平成15年 | 1件 | 1件 | 74件 |
平成16年 | 0件 | 2件 | 54件 |
平成17年 | 1件 | 1件 | 73件 |
入札日 | 方式 | 工事名 | 予定価格 | 落札率 |
---|---|---|---|---|
平成14年8月19日 | 一般 | 長森北団地建設建築主体工事 | 1,150,000,000 | 98% |
平成14年8月19日 | 公募 | 岐阜養護学校小中学部建築主体工事 | 613,000,000 | 98% |
平成15年5月19日 | 一般 | 北東部コミュニティーセンター建築主体工事 | 445,714,000 | 76% |
平成15年5月19日 | 公募 | 日野小学校校舎増築主体工事 | 240,952,000 | 99% |
平成16年5月21日 | 公募 | 西郷小学校校舎増築主体工事 | 226,666,000 | 97% |
平成16年5月21日 | 公募 | 則武小学校校舎増築主体工事 | 170,476,000 | 95% |
平成17年5月23日 | 公募 | 七郷小学校校舎増築主体工事 | 219,047,000 | 83% |
平成17年11月9日 | 一般 | 芥見健康増進施設建築主体工事 | 502,857,000 | 97% |
(注)表2の工事のうち、「北東部コミュニティーセンター建築主体工事(落札率76%)」と「七郷小学校校舎増築主体工事(落札率83%)」は当社が入札した工事。
次に、一般競争および公募型指名競争入札に関する当社の行動と岐阜市の対応についてお話します。
(注)岐阜市建築工事指名願い提出から5年間、希望社には1件も指名なし
当社は、岐阜市に本社を置く指名登録業者100社ほどのうちで、経審の点数では上位10社以内にある会社です。「七郷小学校校舎増築主体工事」の工事成績評定点を54点とするのは、当社を入札から排除するための作為的なものである疑いがあると判断し、現在その根拠の回答を市に要求しています。
また、2工事で当社とJVを組んだ会社は、今、指名がなくなっているそうです。
「談合しない会社を入札から排除しなければ、公共工事に依存する現在の建設業は成り立たない」という業界要求にそって、行政が行なわれています。
このような官民癒着を絶たなければ、行政改革は進みません。この点について、立法権限をもつ議員諸氏の意志と判断が求められると思います。
以下、略。委員会の詳報は、衆議院インターネット審議中継ウェブサイトでご覧下さい。