当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
7月6日にNHKで放映された日曜討論スペシャル「“行使容認”閣議決定 集団的自衛権を問う」で、各党はこのような主張をしていました。
自民党は、「国際緊張が急速に強まっており、現状の憲法解釈では、国民の生命や自由は守れない。中国の、我が国を含む周辺国に対する軍事挑発に対し、軍事力をもって対抗できるようにすることが、抑止力として緊急に必要だ」と主張。
これに対し、自民党の反対に位置する複数の野党は、「日本国憲法は平和主義であり、わが国は他国から軍事的攻撃を受けた時にのみ交戦することができるが、攻撃を受けていない状況下で、その時の内閣の判断により軍事行動を行うことは、憲法の平和主義を踏みにじる違憲行為であり、認められない」と反対。
一方、これら賛否の中間に位置する複数政党は、自民党の憲法解釈に概ね理解を示しながら、国民への説明や手続などをもっと丁寧に行うよう、与党に進言するというものでした。
政府は「閣議決定は法案作成のガイドラインに過ぎず、違憲などと批判されるべきものではない。集団的自衛権の行使には個別の法改正が必要で、今後、国会審議があるのだから」と言っています。
しかし、国民の理解が深まらない中で短期間の国会審議を行い、深まらないことを良いことに議案が可決されていくことは、目に見えています。
国の将来にわたる重要な問題を、国民の意思が定まらない状況のままで、国会内の審議により国会議員だけで決めていくことは、党派の議員数のみによって採否が決せられてしまい、とても危険なことです。
集団的自衛権の行使については、6月28日時点で、157の市町村議会が反対の意思を表明しており、国会の外における行動が広がってきています。
閣議決定は憲法に違反していないのか否か、自民党主導の憲法解釈に従うのか憲法改正手続を経なければ認めないのか。多くの国民が判断するための充分な議論を行うスケジュールが保証されることが、何よりも大切です。
三重県松坂市の山中光茂市長は、集団的自衛権行使容認の閣議決定を違憲として、国を提訴する考え方を示しました。
今を生きる国民、そして次の世代に生きる未来の子供たちの平和的生存権が侵されている」「武力ではなく平和主義を貫くことが、国際的な信用を高め戦争の抑止につながる」と語り、強い意志で行動する決意を述べています。
私の親しい友人である松坂市議会議員の海住恒幸氏のホームページに、山中市長の信念が語られています。
山中市長は、政治家になる前、若手医師としてアフリカのケニアにエイズ予防のボランティアに出向いていたことがあるそうです。彼が何かにつけ話すのは「政治が壊れてしまったときの悲惨さ」。政治が壊れるのは、戦争や内戦のとき。そのとき、一番苦しむのが、ふつうの人々で、そんな国で飢えや病気、死などを見てきた体験から、為政者の都合で犠牲者を出す国家にしてはいけないという思いが、政治家としての原点となっているということです。
山中市長が国を提訴することは、立憲主義、平和主義の憲法を侵す者に対して当然のことです。私は、その意志を多くの人達に訴える姿に、深い共感を覚えています。
原発再稼動反対や特定秘密保護法阻止運動と一体のものとして、私も山中市長の訴えに応えて、小さいながらも努力していく思いを固めています。
読者の皆様、できることからご一緒しましょう。