当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)

遊自耕109号

拝啓枝野行政刷新大臣殿

頑張ってください

官僚主導により肥大化し続けてきた財政支出、減り続ける税収。国家財政は着実に破綻の道を突き進んでいます。

疲弊した国家財政を改善していくには、まず、真実を覆い隠している伏魔殿の大きく重い扉を開けて、財政支出の実態を白日の下にさらさなければなりません。

とても難しく一筋縄では行かないと思いますが、頑張ってください。

すごいものですね、官僚機構は

公共工事は財政支出の中で大きな比重を占めるものですが、この公共工事でこれまで盛んに談合が行われてきました。

一昔前までは、公共工事談合は建設業者の専売特許みたいに言われ、これと戦う国民の味方が官僚であるように伝えられてきました。が、時が流れて官製談合が問題となり、官僚こそが談合の立案者であり指揮者であることが、明らかになってきました。

すなわち、会計法では一般競争入札が原則であるのに、官僚は長い間、原則を無視して圧倒的な発注を指名競争入札や随意契約で行い、そのシステムを運用するために、建設業者に談合組織を作らせ談合させてきたのです。

その後、数次にわたって官製談合事件が摘発されたことを受け、建設業者は談合組織を解体し、官僚は電子入札を導入して従来の入札(落札者を先決めしながら、形の上だけ指名業者が集まって入札箱に札を入れる、人を馬鹿にしたセレモニー)をなくしたり、罰則を強化したりしてきました。  このようにして、現在公共工事談合は概ねなくなったように見えます。しかし、官僚が入札(落札者や落札金額)を支配するという実態は、全く変わっていません。

談合の実施者として仕立てられてきた建設業者を外し、入札契約制度の改変という形で、官僚自身がより直接的に支配する構造に切り替えているだけなのです。

岐阜の入札制度の見直し

岐阜市の契約制度の見直しの目的は、さまざまな理屈を付けながら、特定の業者に、高い金額で発注することにあります。

当社は、岐阜市北東部コミュニティーセンター工事では約1億1,000万円 岐阜市七郷小学校では約3,800万円予定価格より安く受注し、施工しました。しかし、岐阜市の工事を受注するたびに、市は入札契約制度の見直しを行い、当社を一般競争入札から排除してきています。

この排除は昨年3月で終わり、当社はようやく昨年度から自由の身を取り戻しました。しかし、本年4月に新たな制度見直しが行われ(本文P1〜参照)、またもや当社の受注が実質上阻まれようとしています。

岐阜市が拡充しようとしている総合評価方式や最低制限価格制度などは、コスト競争力を持つ企業を排除するものです。建設業者は官僚の示す仕組みに従い、官僚の示す金額で受注するよう魂までも売り渡さなければなりません。

形の上での談合がなくなっても、頑迷に予算執行権限をにぎりしめ、国民の利益を犯しつつ、建設業に君臨する官僚のやり方には、絶対に従うことはできません。

伏魔殿の公開を

先号でお伝えしたとおり、岐阜県発注の衛生専門学校南棟西耐震補強工事で、当社は本来予定価格の71%で受注できるのに、最低制限価格制度に対応するために86%で受注しなければなりませんでした。(この差額15%分は県に返還しようとしています。)

わが国の公共工事は、減少を続けてきたとはいえ、まだ約16兆円あります。入札契約制度による官僚の支配がなければ、2.4兆円(16兆円×15%)前後の支出が縮減されます。

そのためには、伏魔殿からの指令をやめさせなければなりません。(岐阜市の入札契約制度の見直しも、岐阜市が単独で行ったものではなく、伏魔殿の元締めの指令に従い、全国的に歩調を合わせて行われているものです。)

大臣はお分かりだと思いますが、この伏魔殿の元締めは、中央公契連(中央公共工事契約制度運用連絡協議会)であります。国も県も市も、中央公契連の作るモデルに準拠して、官僚達で組織する入札契約制度検討委員会等で制度見直しを行うのです。

市民はおろか政治家さえも締め出しているこの悪の殿堂を、ぜひとも公開させていただきたい。

混迷する新政権で、ご苦労は多大なものだと思いますが、これは財政再建には避けて通れない道だと思います。

私も、伏魔殿の発する具体的指令についての情報を収集し、大臣に提供していきます。

ご自愛のうえ頑張ってください。

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