当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
何も知らない、知識も無い、そんな立場から国交省官僚にお聞きしたい。
約50年の年月を費やして昨年完成した岐阜の徳山ダムの、これまでの総事業費はいったいいくらであったのか。
完成したこのダムや道路、橋梁などの保守費用は、今後毎年いくらかかるのか。
この施設を目当てに集まる観光客からの観光収入は年にいくらあるのか、と。
このダムは半世紀以上前に計画され、その目的は治水、利水、発電だと聞く。
治水というが、このダムができるまでに、いったい何回の大水害があったのか。
利水というが、名古屋市長河村たかし氏は「水は要らない。今後の経済と企業動向を判断したら使い道がない」と断りを入れている。この水はどこに、年いくら売ることが出来るのか。
発電所の計画地は残されているが、まだ影も形もない。いったいいつ作り、電気はどこに売るつもりなのか。
そして、466戸の住民を2分した対立を村内に作り、結果として村を水没させ、長い歴史と思い出を奪い取ったことをどのように思っているのか、ぜひお聞きしたい。
私は素人ではあるが、彼らの回答に対する反論は、山のように出せるつもりでいる。
これまでわが国で作られてきたダムの効用を上げてみた。
(1)官僚に、自らを太らす餌場を与えてきた。
(2)長期政権下の政治屋に、おこぼれと票を提供してきた。
(3)ダム屋と呼ばれる大手土木会社に、お下がりを与え、足腰を弱くさせてきた。
(4)目立った産業が無く金銭収入の無い村人の生活を、長期間支えてきた。
そして、地元住民の生活は、いつも暮らしの自由を制限する官僚どもに翻弄され、国は、財政破綻の瀬戸際でさいなまれている。
これから言うことを、素人のたわごととして聞き流さないで欲しい。
現在、目的が明確でないのに建設中のダムは、すべてその建設を即刻中止すべきである。そして、造りかけのダムは、建設地の村人の生活のために時間をかけゆっくり壊していったらどうか。
これこそ、新しい時代に誕生した新政権の果たすべき役割であり、現実的なセーフティーネットと言える。また、元の自然を取り戻していくこともでき、一石二鳥である。
村人100人の就労を作り出すには、1年で 100人×20万円×12ヶ月=2億4,000万円 もあればできる。
それをやらないでダムを作り続けたら、今後年にいくらかかるのか。また完成した施設を保守していくには、年にいくらかかるのか。
作ると壊す、どちらがよいか、素人でも分かると思うのだか……。
60年前、私は腹をすかせていた。学校から帰って食らった蒸し芋が腹を満たしてくれた。
パンパンパンというディーゼルハンマーの杭打ちの音は、焦土からの再建のシンボルであり、「槌音高く」と新聞に報じられ、心が躍った。
欲しい物などほとんど無かったが、それでも元気で遊びまくっていた。
物が豊富でないと、経済が成長しないと困ることなどあり得ないのに、政財労をあげて生産拡大を叫び、国民をその麻薬中毒に落し入れている。この治療こそが国家再建のキーワードだと私は信じている。
(1)天下りが支配する特殊行政法人等の一切を廃止する。そこでなされていた、大部分が国民いじめである業務は撤廃し、残った業務はその全てを民間移管する。
(2)高齢者の就労意欲を削ぐ「収入のある年金受給者への年金支給額減額制度」を廃止する。少子化の進む生産の場に高齢者を戻し、安い賃金で働くモデルを構築する。
(3)公務員の賃金総額を2分の1に引き下げる。1人当たりの賃金支給額を単純に引き下げるのではない。今は行われているが本当はやらなくても良い大部分の業務を取りやめることも含めて、やり方はいくらでもある。
(4)企業の役員及び従業員の報酬・賃金を、平均20%削減する。
(5)デノミは実施しない。
これは、これまで収入増加を求めていた約1億2千万人の国民が、「収入の増を求めず質素に暮らそう」という国民運動の提起である。
これらの施策の実施には、官僚に金を渡さず、権限らしきものを骨抜きにすることが前提となる。
この運動の指導者には、ソ連邦を解体したゴルバチョフに相当する人物を必要とするであろう。