当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
8月30日に行われた衆議院議員選挙で自民党が大敗し、民主党政権が誕生しました。
民主党の驚異的な議席獲得数は、長期にわたって政権の座についていた自民党のおごりと失政に対する、政権交代を求める国民の意思表示の結果であります。
今までと違う党が政権を握ることになったのだから、政治が変わり、私たちの暮らしも良い方向に向かっていく。そう、国民の何割かは期待をしています。
自民党が大勝した前回の総選挙では、小泉チルドレンといわれた人達がたくさん当選しましたが、今回は小沢チルドレンがたくさん出てきました。
中には、まさか当選するとは思っていなかったのに当選してしまい、あわてて党の指導を仰ぎ、にわか勉強に忙しいという議員さんもおられると聞きます。
こんな状態で、手練手管の官僚に立ち向かい、国民の暮らしを良い方向に変える新しい政治ができるのでしょうか。政治には深い見識と改革意欲を併せ持つ人材が、もっと必要なのではないでしょうか。とても心配です。
古くからの読者のみなさまは覚えていてくださるかもしれません。約4年前、つまり前回の総選挙のときに、私は、岐阜市内の数箇所で、各政党の候補者に混じって街頭演説をしました。
といっても、立候補したわけではありません。その数年前から、当社が岐阜県や岐阜市の公共工事入札に参加したり、公共工事を請け負ったりする中で強く感じていた「公共工事改革」の必要性を、国民の政治への関心が高まる選挙期間に、訴えたのです。
でも今回は、本当に立候補することになりました。比例東海ブロックで、新党日本からの出馬です。
新党日本代表の田中康夫さんとは、彼が長野県知事であったときに、長野県発注技術等検討委員会という組織に委員として招かれて以後6年の付き合いになります。
この組織は、それまで長野県で行われていた公共工事談合を撲滅し、公共工事の発注のあるべき姿を調査検討するために設置されたもので、県民のためにならない、税金の無駄使いを見直す「脱ダム宣言」と同じ考え方によるものです。
この田中代表から強い要請を受け、公示日直前に立候補を決断したのです。
準備のないまま選挙戦に突入しました。どうしたらよいのか分らないままでしたが、選挙運動に参加してくれた社員たちや、さまざまな形でご協力いただいた支援者のおかげで、無事走り終えることができました。
選挙結果は、田中代表は兵庫8区で公明党の冬柴氏との激戦を制しましたが、私を含め他の7名の候補者は残念ながら落選で終わりました。
事前に何の報告もなく突然ご支援のお願いを申し上げた多くの読者のみなさまには、改めてお詫びし、御礼を申し上げます。
私が立候補を決断したのは、建築に関する法令や行政上の数多くの問題を解決するには、国政の場で直接訴えなければならないと感じたからであります。
特に、一昨年6月に施行された改正建築基準法は、なんとしてでも再改正しなければなりません。この改正法は、官僚の責任逃れ以外の何物でもなく、民間の建築事業の停滞や縮小を招いて、建設関連業のみならず多くの産業からその活力を奪うとともに、行財政改革の流れを阻害するとんでもない悪法です。
建築基準法を、建築関連業に携わる人達の意見が反映され、真に国民の利益にかなう制度に変えるためには、悪法の作成者であり運用者である官僚と、本気で闘っていかなくてはなりません。
また、「公共工事入札制度」についても多くの問題があり、その行き着くところは官僚の利権維持です。
「政治主導」を強調する民主党は、どこまで官僚と実質的にやりあえるのでしょうか。
落選した私も、建築分野において、国民の利益の実現をめざして闘っていきます。