当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
誰も彼もが脅えています。賃金が下がる、職を失う、住居を失う、貯えがなくなる、老後はどうなるのだろう。
誰も彼もが不況の終わりを求めています。生産と消費が拡大し、賃金が上昇し、物が豊かに流通し、夜の街は灯と音と人の波にゆれる。
不況が終わり、その先に今まで通りの環境がまた帰ってくる。それを政治にひそかに求めている。そんな私達がいるのではないでしょうか。
誰も彼もを脅えさせている「百年に一度の大不況」は、金融資本主義経済の破綻の結果です。
資本主義経済は、需要と関係ない増産を宿命として成り立っています。これまでも、日常品、家電、自動車と、買う必要の無いものまでさんざん人々に買い続けさせ、押入れの中を不用品で一杯にさせてきました。
それでもまだ作り続け売り続けるために、信用がないために本来借金などできない人々にもじゃんじゃん金を貸し出して、容易に家を買うことができる仕組みをつくり出し、破局を招いてしまったのが、米のサブプライムローン問題。現在の世界的な経済不況は、この問題に端を発したものであることは周知のとおりです。
さて、この大不況は、各国首脳が一同に集まって協議したところで、まともに解決などできる訳がありません。
不況を解消するためは大量消費の創出が必要。そのためには、世界の主要国が協調して紛争地域における戦争拡大を。そんな危惧さえ感じます。
戦争は国を富ませ民を苦しめます。給与も休日もあったものでありません。葉書一枚で徴兵され号令一つで死んでいった、こんな記憶は忘れてしまっていいのでしょうか。
自衛隊のイラク派遣や、マラッカ海峡の海賊対策派遣などを見て、我が国もこれら主要国の地位確保を狙っていると思うのは、私の思い過ごしでしょうか。
私は20年前からたびたび中国を訪問し、今も中国と僅かな取引をしています。20年前には、高速道路も超高層ビルもない土地に、13億人が暮らしていました。
今、沿岸地方の都市には、超高層ビル群ができあがっています。もしこの先、内陸部も同じような状況になっていったら、地球は人間の住めない惑星になってしまうことでしょう。
エコロジー技術をいくら開発しても、増産による自然環境の破壊を止められるものではありません。
地球を救うためには、生産や販売を縮小させること。もちろん、今希望社が行っている事業も、縮小させるべき対象に入ります。
減産は失業を生みます。当然であります。生産施設やオフィスが減少するのですから。だから会社に頼って生きてはいけないのです。
消費のために多くの貨幣をという考え方は、20世紀後半に米の世界支配の中で作られた金融資本主義の一部であり、この価値観を捨てなければなりません。
50年前の日本を振り返ってみることです。日本は国土が小さく、農耕に不向き、それは間違った情報です。シンガポールならいざ知らず、日本には有り余る農地と山林があります。この資源に現代の技術と人材を投入したら、安全な食糧を安心して自給できるでしょうし、働く場も豊かに生まれてくると思います。
価値観を見直し生き方を変えることが、今、地球が私達に求めているものではないでしょうか。