当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)
中国の軍事力拡大、北朝鮮の核開発、イスラム国によるテロなど、国際緊張が世界に広がっています。
安倍総理は、この複雑な国際関係の変化に、日本も軍事力を強化して軍事行動のできる国にならなければ、国民の安全を守ることができない。攻められたら攻め返し、打ち負かすだけの実力を持たなければならない、と言うのです。
また、これまで軍事行動を行わなかった歴史にピリオドを打ち、米と一体となって、国際紛争を調停する軍事力を持った国に日本を変え、あわよくば日米共同で世界に君臨する立場を得ようとしています。
彼は、「積極的平和主義」と呼びながら、平和とは真逆のこの道を突き進んでいます。これが彼の言う“美しい日本を取り戻す”ということの中身です。
言うまでもなく、日本国憲法は、わが国が日常的に強大な軍事力を保有したり、専守防衛以外の軍事行動を許したりしてはいません。この平和主義の憲法により、私たちは、70年にわたって戦乱に巻き込まれないできました。
安倍内閣はこれまで、防衛庁の防衛省への昇格、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定、といった形で、日本の軍事国家化を進めてきました。
これが重大な憲法問題であるにもかかわらず、憲法改正をしないで進めてきたことも当然問題ですが、安倍総理が憲法9条の改正を目指していることは明らかであり、これがより本質的な問題であることは疑う余地がありません。
憲法改正は、衆参両院の本会議でそれぞれ3分の2以上の賛成が得られると、国会が発議し、国民投票にかけられる。国民投票で有効投票数の過半数が賛成すれば成立します。
そして、前回の衆議院議員選挙の投票率は52.66%(小選挙区)だそうですので、この投票率でいけば、有権者の約26.33%の賛成で憲法は改正されることになります。
こんな低投票率のまま、憲法改正の本質を議論もせずに憲法改正がなされたら、これは、民意の反映とは言えない、国民無視の専制政治そのものであります。しかし安倍内閣は、この路線をひた走っています。
安倍総理は、軍事国家化という国の基本に関わる問題を、国民の声に耳を傾けず、充分な国会審議もしないまま、推し進めています。
国民にはこの問題をできるだけ伏せ、経済成長が国民の収入拡大と豊かさをもたらすと矛先をそらし、国のあり方を大きく転換させようと企てています。
このような悪辣な政治手法で軍事国家を目指す内閣は、一刻も早く退陣させなければなりません。
それには、私たちが「知足」を善とする考え方に立ち、際限なく物を求め贅を尽くすことを止めて質素に生きることが、とても重要です。そして、国家に依存せず、自立の立場に立つことです。
でないと、為政者の思う壺となり、必要のない経済成長や、自分を失った目まぐるしい生活の虜になってしまいます。
内閣が進める原発再稼動に対して、原発立地の人々が反原発に立ち上がれない理由も、同じところにあります。
為政者を批判するだけでなく、原発再稼動を許さず、憲法の平和と民主主義の理念を守り抜くために、私たちは自省し、立ち上がらなければなりません。
経営者も生産的業務に携わる者も、安倍内閣退陣を求め、デモに参加しましょう。
心ある者が重い腰を上げる時であります。