当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)

遊自耕 不常識を食らう シリーズno.137

経済音痴の悩み事

無知ゆえに分からないのです

経済学も金融も全く分からない私の独り言です。なぜデフレ経済は悪いのですか? なぜ株価が高くなると良いんですか? なぜ円安が必要なんですか? これらは誰にとって良くて、誰にとって良くないんですか? 私にはほとんど分かりません。

私にとっては、デフレで物価が下がって困ることはないし、株価が上がって得することもありません。円安については、23年前から中国で施工図(日本の建築に必要な詳細図)を製作する事業をやっていますので、その中国の会社の従業員の賃金アップの要望に応えきれず悩んでいる昨今があります。浅学ゆえの戯言と笑われるかもしれませんが、これが私の実感であります。

分からないのは、そう高くない賃金で働く人達の中に、株価が上がり円安になれば景気が良くなり、自分の懐具合が良くなると期待する人達が、少なからずいることです。

もっと分からないのは、経済成長万能論の政治家達です。私には、あの馬鹿どもは何を考えているのかと映るのであります。あの馬鹿どもが、原発の存否に関わるエネルギー政策を議論しているわけで、真面目な政策ができるわけがありません。

経済を成長させ、人々を幸せにする??

恥ずかしながら、自論を述べることにします。もう経済成長は続きません。近いうちに経済はゼロ成長になり、それからマイナス成長になっていきます。

G6から始まり約40年になる先進国(主要国)首脳会議は、一時的な経済変動をコントロールできたとしても、未だ世界経済の矛盾を解決することはできないし、終わりなき経済成長を進めることもできません。

経済成長は、需要に対して供給が少ないことにより可能となります。需要に対して供給が上回っていくと、物の値段は下がっていくし、作り過ぎた物は廃棄しないと、経済恐慌に陥ってしまいます。農家が出来過ぎたキャベツを畑で処分したり、政府が減反政策を行ったりする理由は、ここにあります。

近代資本主義は、250年かけて世界に広がりました。今、その結果の工業化により生み出されている物は、それを求める人達の需要を、大きく上回ってしまっています。

この資本主義経済は、作っては値段を下げ、値段を下げても利益を求め、毎年目新しいものを市場に送り出し、人々の物欲を煽り、買い続けさせ、廃棄させ続けています。私たちの身近でも、衣料、スマートフォン、自動車など、数え切れません。

大量生産と大量消費を基本にした経済は行き詰っています。この状況を変えるには、第3次世界大戦しかないのかもしれません。そうすれば、国土は焼土と化し、人口は激減し、再び経済成長が始まります。それが人々の幸せにつながるというのなら。

経済政策は経済縮小を前提に!

経済成長率という指標があります。これは、その年のGDP(国内総生産)と前年のGDPとの差を、前年のGDPで割ったもので、GDPが前年より増えなければマイナス成長になります。因みに、2013年の経済成長率の国際比較ランキングを見ると、アメリカ121位、日本138位、ドイツ157位、中国16位だそうで、経済先進国になれば、経済成長率が低いのは当然であります。

日本の人口は、現在1億2700万人ですが、45年後の2060年には8700万人ほどになるようです。人口の減少に伴って必要な生産量は縮小するのに、なお経済成長を目指すことは、急流に向かって舟を漕ぐが如くであり、出来もしないことをやろうとすることです。もう食べられないのにもっと食べろと言うことです。こんなことをすれば身体を壊してしまう。

逆に、経済成長を目指さない社会になれば、生産のためのエネルギーを増やす必要もなく、原発も無用のものになります。このことからも、経済政策は、経済縮小を前提に立案されるべきであります。

国民の物欲を煽り、経済成長の必要性を語り、嘘と欺瞞で集票し、原発再稼働を推し進める。こんな輩は国賊です。経済縮小政策を立案できる人達が一日でも早く登場することを、願ってやみません。

初夢ならず初怒であります。

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