当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)

遊自耕 不常識を食らう シリーズno.121

「電気を買わない生活」の実験

電気は自分で作る

“電気は電力会社から買わず、必要な電気は自ら作り、自ら消費する”電気の自産自消実験に着手しました。

政府や電力会社は、私たちに節電の要請を繰り返しています。節電の極致は電力会社から電気を買わないこと。ただ、電気を買う代わりにガスや石油を使っては元も子もないので、無料で無限に享受できる太陽光を利用することにしました。

特集で紹介したとおり、電力の消費を極力抑えた生活を送ることを前提に、太陽光発電で電力をすべてまかなう住宅を造ります。5月中に設計を終わらせ7月初めに着工し、9月末には完成する予定です。

実験住宅なのでいくつかの不具合は発生するでしょうし、それらを一度に無くすことはできないかもしれませんが、自ら住まい問題点を集約して、住宅の完成度を高めていくつもりです。

宣伝に踊る太陽光発電

“太陽光発電量が消費電力量を上回る昼間は、上回った分を高い価格で電力会社に売り、消費電力量が発電量を上回るときは、その不足分を安い価格で電力会社から購入する。特に電力をたくさん必要とする電気温水器は、より安価な深夜電力を購入して動かす。これにより、家計の光熱費を大幅に減らすことができ、上手に使えば差益を得ることもできる。”こんなうたい文句で、今、世の中では太陽光発電の勧めがさかんになされています。

これは、原発の止まった現在の電力会社の発電量ではまかないきれない電力需要を、庶民の負担で設置した太陽光発電システムで作った電力で補おうとするもので、電力消費量の縮減を指向するものではありません。

私の太陽光発電はコンセプトが違います

電力消費量を無批判に増やしてきたこれまでの社会は、私たちの物欲・金銭欲をよりいっそう高めるための基盤となり、それが、落ち着かない多忙な暮らしや、深刻な自然破壊となってあらわれています。また、人間の生存にかかわるあの忌わしい原発事故の起きた後でも、脱原発の方向に踏み出せない多くの日本人を創っています。

だから、これからのエネルギー政策は、利益追求のために大量の電力を使って大量生産を続ける企業経営や、豊かな電力で快適な暮らしを求めつづける私たちの生活態度を見直す方向でなされるべきです。

私は、自らの生活をよりいっそう節電型に改め、少々の不便を恐れず、過剰な快適さも求めないで、電力消費を抑えます。自分で電気を作り自分で消費します。作った電気は電力会社に売りませんし、売って儲ける意思もありません。

反原発 電力自由化国民運動に参加します

電力の国家統制はやめて、発電と電力供給を自由化することが必要です。100年以上にわたり官僚体質で固められた古い電力供給システムを解体したうえで、新しい時代に応えるエネルギー政策を組み立てていくことが大切だと思います。

昨年の11月に開催した「庶民による政治改革運動 意見交流会」で、参加者の意見を聴きながら、できるだけ早期に、電気を自ら作り自ら消費する実験住宅を造ろうと決断しました。この実験に、大きなコストをかけることなく成功したら、原発は不要になるし、電力会社も性格を変えていくことになると思います。

電気を買わない住宅の開発は、私にできる「庶民による政治改革運動」の一つと位置付け、取り組んでいきます。ご期待下さい。

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