「改正建築基準法に関する公開アンケート」 国会議員による回答(3)

質問A1 「改正建築基準法」は、日本経済環境悪化に多大な影響を及ぼしていると思うが、この見解についてどう思うか?
質問A2 「改正法」は、建物の安全性を高める効果があったと思うか?
質問A3 「改正法」は、建築関係者に混乱・疲弊を生じさせていると思うが、どう思うか?
質問B1 確認審査期間が定められている期間より長く、数ヶ月もかかっている状況を知っているか?
質問B2 確認審査期間の延長、審査完了時期の不確実性により多くの建築工事が進められない状況を知っているか?
質問B3 申請の提出書類が膨大に増え、今までと比較にならない費用が発生しているのを知っているか?
質問B4 担当審査官によって指摘事項や見解がまちまちに示されているのを知っているか?
質問B5 階高や扉・窓のわずかな寸法変更も、工事中断・確認の再申請をしなければならず、発注者の要望が実現できない状況を知っているか?
質問C1 改正建築基準法をどのようにすべきか?

増子輝彦 参議院議員(民主党)

質問A1の回答 同感
質問A2の回答 多少あり
質問A3の回答 大いに問題
質問B1 よく知っている
質問B2 よく知っている
質問B3 よく知っている
質問B4 よく知っている
質問B5 よく知っている
質問C1 再改正すべき

(ご意見)質問項目については関係者から耳が痛くなるほど聞かされている。私の所属する参議院経済産業委員会でも一昨年来再三にわたり民主党の議員が改正の不満と解決の為の質問を行なってきた。また業界の皆さんは勿論、中小企業関係団体からも改正の要望、陳情を受けている。行政側の保身の典型的なものである。今後共再改正に向けてしっかりやっていく。

松本文明 衆議院議員(自由民主党)

(ご意見)姉歯事件以後、建築物、建築行政、建築業界等に対する信頼が地に堕ちたことは事実です。その信頼を取り戻す為に建築基準法の再整備は避けてとおることは、出来なかったと認識しております。その過程で建築士、事務所、協会、学識経験者、弁護士、被害者の会などの関係者の皆様から、何回も意見徴収を行った上での法改正でした。
しかし施行後、確認作業における時間の問題、手続き、必要書類の質と量の増大、等々の負担の増大、アンケートに列挙される多くの問題が指摘をされ、建築不況を発生させました。この建築不況を打開する為に、多くの関係者の意見を伺い、建築基準法を施工段階で個別に対応し、解決に努めてきたと考えております。
しかし自治体間や建築主事の間で考え方の違いから、まだまだ期待に応えきれていないことも多いのだろうと感じております。
具体的にご指摘を頂いて問題の解決に努めたいと思います。

松原仁 衆議院議員(民主党)

質問A1の回答 同感
質問A2の回答 多少あり
質問A3の回答 大いに問題
質問B1 よく知っている
質問B2 よく知っている
質問B3 よく知っている
質問B4 よく知っている
質問B5 よく知っている
質問C1 運用の大幅な緩和

(ご意見)改正建築基準法が深刻な官製不況の元凶となっている事態を憂慮しています。
建築確認がスムーズに行われないために、工期が延び、金利負担の増大や、金融機関による貸しはがしの実態も招来していることは大きな問題です。損害賠償請求は当然出て来てしかるべきです。
運用の大幅な緩和は緊急課題です。再改正についても、皆さんのお話をよく聞いて必要ならば当然やるべきだと考えます。

川田龍平 参議院議員(無所属)

質問A1の回答 その他
質問A2の回答 多少あり
質問A3の回答 問題
質問B1 あまり知らない
質問B2 知っている
質問B3 あまり知らない
質問B4 あまり知らない
質問B5 あまり知らない
質問C1 その他

(質問A1)大きい。

(質問C1)よく勉強したい。

(ご意見)伝統工法が守られるべき。地域木材を利用した住宅建築などは守られるべき。技術を持つ左官や大工等の職人の方が職を失うことがないように考えていきたい。

保坂展人 衆議院議員(民主党)

質問A1の回答 大きくはないが影響
質問A2の回答 多少あり
質問A3の回答 問題
質問B1 よく知っている
質問B2 よく知っている
質問B3 知っている
質問B4 知っている
質問B5 知っている
質問C1 再改正すべき

(ご意見)後援会・会員の一級建築士さん、支援いただいている全建総連の組合のみなさんからも問題点について御意見をいただいております。
現行改正基準法については再審議する必要があると思います。
残念ながら私は国土交通委員会ではございませんが、党の政策審議室にこの問題について取り組むように、引き続き話してまいりたいと思います。

渕上貞雄 参議院議員(社民党)

質問A1の回答 大きくはないが影響
質問A2の回答 多少あり
質問A3の回答 大いに問題
質問B1 よく知っている
質問B2 よく知っている
質問B3 よく知っている
質問B4 よく知っている
質問B5 よく知っている
質問C1 再改正すべき

(ご意見)野党の対案を押切って成立した改正建築基準法施行の結果、建築確認の審査が厳格化され、住宅着工戸数をはじめ産業界や公共の建設投資も急減し、「官製不況」ともいうべき社会的な大混乱を招いています。これは、安全性よりも安さや効率性を追求する異常なまでのコスト削減競争、手抜き工事等を生み出す元請ー下請ー孫請という重層的多重下請・ピンハネ構造、「設計」、「施工」、「監理」の「三権分立」の崩壊、建築士の施工業者への従属による不適正な業務や「名義貸し」の横行、ずさんな建築確認・検査の実態、規制緩和・民間開放の流れといった構造的な問題にもしっかりと踏み込んだ抜本的な対策ではなく、実務を知らない官僚・学者や巨大な外郭団体、天下り団体によって、現実離れの弥縫策で糊塗してきた国交省の施策の失敗といわざるをえません。特定行政庁の指定確認検査機関への指導・監督権限を法的に強化するにもかかわらず、その財政的責任を国がとらないし、確認・検査を民間に依存したために体制が弱体化している自治体で確認検査を担当する建築主事や関係職員の人材育成や体制強化もありませんでした。改正建築基準法施行によって、伝統的構法木造や、地域材を使い、地域の技術による、地域性がある木造住宅の着工も難しくなっています。
  社民党は、2006年に成立した「電気用品安全法」(PSE法)がほとんどの国民から支持されずに、反対運動の結果再改正に至った経緯にならって、改正建築基準法を居住者・利用者の立場での抜本的に見直しを行い、再改正をすべきだと考えています。最終的には建築の質を高め、社会を豊かにするような建築基本法の制定が必要だと考えています。

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