当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)

遊自耕116号

頑張れ菅さん

小泉さん以来の名総理

小泉さんは、旧ソ連邦とソ連共産党を崩壊させたゴルバチョフと並ぶ、大改革者であります。

自民党をぶっ潰すと主張し、党内敵対勢力を焙り出し、派閥を骨ぬきにしました。

最後の総選挙では旧い自民党の息の根を止めて大勝利し、以後を無能無策の総理大臣に引きついで党を弱体化させ、その結果政権を民主党に引きわたし、見事に自民党をぶっ潰しました。

菅さんは、鳩山兄弟がスポンサーで創った民主党の軒下を借りながら、自民党から離れ権力奪取を画策する小沢さんと対峙して勝利し、総理に就任。

以後半年、小沢軍団の銃弾にさらされその攻防に明け暮れた挙句、近頃やっと、内閣の合意を軽視し、党内調整や政党間協議を無視し、思い付きで政治を進める、といわれる菅イズムの本音が見えてきました。

このやり方は、小沢軍団との戦いのレベルでなく、全政党・党派、官僚機構、マスコミ、それらに影響される愚民による世論など、全方位からの銃弾にさらされることになりました。

実際、「無能無策だ」「何より優先して政権を手離すべきだ」そんな意見に包囲され、防衛・外交、経済政策、それに災害や原発への対応など、具体的な成果は何一つ出ていません。

しかし、良く見ると、「菅を替える」ことだけを叫んで何もやろうとしない連中と協調を試みる事自体に、何の意味もありません。

菅降ろしに血道をあげている輩達は、菅降ろし劇場を見ながら考える国民世論から、やがて見放されていくことになるでしょう。

菅さんは、国民から離れてしまった「政党による政治」やそれと一体をなしてきた官僚機構が、今の時代に沿わない旧い遺物であることを明らかにし、政党政治自体を崩壊させ、国民世論を興して政党政治をぶっ潰す、国家の大改革実践者だと思います。

菅降ろしを叫ぶ人達に聞きたい

菅さんは「無策無能だから」総理を替えるというのならば、誰が菅さんに替わって総理になれば良いのか。

菅さんは「1人よがりだから」というのなら、自分の意志でなくバランスで事を進めた小渕さんのような人が適任とでも言うのですかね。

そもそも、政治は政党間の協議や調整でするものではなく、政党ごとに異なる政策の違いと対立を国民が知り判断することで、成り立つものではありませんか。

「政党間の信義・信頼」 国民の知らない場面で調整され議会運営がスムーズに進む、それはそんなに意味あることですか。

「混乱する政局を打破するには大連合しか有り得ない」 ますます分かりません。大連合とは戦前の大政翼賛会の現代版みたいに見えて、空恐ろしくさえ感じます。

菅さんを降ろそうとする人達は、国家のことも考えず政権の座にしがみ付く…と言いますが、本当にそう思いますか。誰が好んで激務である総理を私事で続けていると思いますか。

安倍さんや福田さんなんか、途中で投げ出したではありませんか。私事でと言うのならば、即退散というのが道理ではないですか。

もう一度お聞きしたい。貴方達は本気で災害や原発に取り組んでいますか。政策を示さず菅降ろしばかりを声高に叫ぶ、これこそ党利党略で無様に見えてなりません。

自分の見識を大切に

原発問題に絞って私見を述べます。

“事故が発生し放射能汚染が拡大しているが、すぐには人体に影響はない” そんな情報の中で、菅さんはいち早く、“悲惨で深刻であり数十年にわたり影響が残る状況である”と発表し、静岡の浜岡原発を停止させました。

安全が確認できたとして運転を再開することになった玄海原発に対しても、急遽ストレステストを指示し、再開は中止となりました。運転再開の方向に向かいつつあった全国の定期検査中の原子炉は、これで当分再開できません。

そして7月13日、菅さんは、「原発依存」国家のエネルギー政策を白紙に戻し、今後の原発建設計画を中止し、時間をかけて原発を零にしていく意志表示をしました。

一連の処置は、総理という立場であったからこそできたものです。時事通信の7月14日の発表では菅内閣の支持率は12.5%にまで落ち込んでいますが、妥協せず自分の見識に従って行動してください。

7月2日には、東京で原発零をめざす大集会(参加者2万人)が開催されました。政党の動員でなく、庶民1人1人の意志に基づく集会でした。

頑張れ菅さん、貴方は1人ではない。

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