当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)

遊自耕 不常識を食らう シリーズno.138

自宅の屋根で蓄電式ソーラー発電を

反原発のささやかな闘い

2015年3月、日本の原発は一基も動いていません。しかし、それによる凍死者はゼロだし、街の灯りは煌々として消えません。それなのに、なぜ原発が必要なのでしょうか?

電力会社から電気を買わない私の暮らしは、2年半を超えました。

相当考えながらの節電生活を心がけてきましたが、冬場になると短い日照、連日の降雨、降雪など、夏にはない苦労が押し寄せてきます。が、暖房は石油ストーブ、入浴と炊飯はプロパンガスで補強し、できる限り電気に頼らない暮らしを続けています。

家電による快適生活(狂った生活)からの転換も、やってみれば何とかなるものです。

中電無用の実験住宅は、触れてはならない核に手をつけ、取り返しのつかなくなったエネルギー政策を改めようともしない政財界に対する、私の抵抗であります。デモや集会だけでない、私にできるささやかな闘いであります。

エネルギー転換政策のまやかし

3.11を契機に、自然エネルギーへの転換が国策となり、自然エネルギーによる電力を、一定期間、一定価格で電力会社が買い取ることを義務付ける制度ができました。

これによってメガソーラーが次々にできました。当時の政権党、民主党の菅内閣が、ソフトバンクの孫さんと手を組み、原発に代わる電力と定めて推進したのです。

電力買取価格は高いから農業をするより高収入になる。こんな思惑から、メガソーラーは、短期間に大量に拡大しました。しかし、私はこれに大反対です。

山や丘をソーラーパネルで埋めることは、自然破壊に他なりません。生態系が変わってしまう。もぐらやおけらはどうなってしまうのか。農地のソーラーパネル設置など、米の減反政策に代わる農業破壊の政策としか言いようがありません。

メガソーラー発電施設の設置・運営費用が、もっぱら一般消費者が負担する仕組みになっていることも問題です。

メガソーラー発電事業者は、一定期間、高い価格で電力を買い取ってもらうことで、施設の設置・運営費用を賄ったうえで利益を得ることができ、一方、高い価格で電力を買い取る電力会社は、その費用を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という名目で、月々の電気料金に上乗せして全額回収しているのです。

そして今、短命の民主党政権に代わって登場した安倍内閣が、多くの国民の意思を無視して、民主党時代の国策を転換し、原発再稼動を進めています。

電気は水と違って、作り過ぎたものを大量に蓄えておくことができません。ですから、この原発再稼動による電力供給に備えて、電力会社は自然エネルギーによる電力の受け入れを制限しはじめています。

そのため、発電施設を造ったのに買取ってもらえず、経営が成り立たなくなる事業所も出てきているようです。こんなことになることは、初めから分かっていました。投資効果が高く儲かるというだけで飛びついた事業者にも問題があり、これは自業自得かもしれません。

エネルギー政策の転換は、発電方法を変えることだけでなく、エネルギー消費を縮小することを前提に取り組んでいくべきだと思います。

私たちも反省しなければなりません

山間僻地にダムを造り、延々と送電線を張り巡らせて、放電のために発電するような水力発電は過去のものとなりました。これからは、自宅の屋根で発電し、自分で使って暮らす時代に入ります。

家電による快適生活、大量消費の豊かな生活、そしてこれらを保証する経済成長。こんな考え方に乗せられないで、エネルギー消費を縮小する暮らし方を試みていけば、蓄電式ソーラー発電生活が実現できます。

蓄電式ソーラー発電システムは、100〜150万円投資すれば、今貴方がお住まいの住宅の屋根を使って設置できます。一人でも多くの皆様が採用をご検討されますよう、お薦めいたします。

産業分野では、すでに多くの企業で自産自消(自家発電)が行われています。住宅分野でも、ようやく、原発も電力会社も無用の時代の幕開けとなります。

 

4月には統一地方選挙があります。くれぐれも、原発推進の候補者には一票を投じないようにしましょう。

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