当社代表桑原によるコラム「遊自耕」は、隔月発行の建築情報誌「飛翔」誌上にて連載しています。飛翔の送付をご希望の方は、飛翔送付申込フォームよりお申込下さい。(送付無料)

遊自耕 不常識を食らう シリーズno.122

政治変革の好機到来

派閥政治の崩壊

小泉さんが総理大臣を退任してから、6年近くが経ちました。 彼の主張は、独創的で分かりやすいものでした。

・政治、行政を実質的に支配してきた官僚体制を叩く。

・官僚支配を弱めるためには、行政改革の断行しかない。

・官僚による規制を緩和し、経済を自由化する。

・官僚と財界に金蔓で繋がる権力党の派閥運営を制限する。

・官僚による国営企業の象徴である郵政の民営化を行う。

・郵政民営化に反対する者を抵抗勢力と呼び、非妥協的に闘う。

・国家依存に慣らされた国民に、自立と痛みを求める。

彼は、福祉切捨て、弱者無視などさまざまな批判を受けつつ、時代の変化に応え諸施策を実施した傑物でした。何より、自ら「自民党をぶっ潰す」と語り、派閥政治を骨抜きにし、崩壊寸前であった自民党を再生させました。

しかし小泉総理退任後、無能無策なる3総理を経て、自民党は実質的に崩壊しました。

60年以上続いた政権党としての自民党に、もう再起はありません。まさに小泉さんの大儀が実現したのであります。

政党政治の崩壊

小泉さん退任後の総理大臣は、自民党の安倍、福田、麻生、民主党の鳩山、菅、野田と引き継がれてきました。菅内閣までは、すべて1年前後の寿命しかない超短期政権です。

彼ら一人一人の無能さを語ることにさしたる意義はありませんが、全く触れないのも口惜しいので、ちょっと一言。

安倍さん。「100年安心な年金制度」を掲げ、伏魔殿と化した年金制度の整理を1年以内に責任を持って実施するなどと言いながら、何もしないまま病院へ。まるで逮捕を逃れるための入院ではありませんか。

鳩山さん。お母上の資金援助で政党まで作ってもらい、庶民の心など分かる訳がないのに総理に祭り上げられ、200年も前のフランス革命のスローガン「友愛」を金科玉条とし、普天間問題には「最低でも県外」……。彼はいったい何をやったというのか。

そして野田さん。福島第一原発事故の検証も終わっておらず、安全性の裏づけが不十分なまま、責任は自分が取ると言って大飯原発を再稼動。貴方に取れる責任とはいったい何でしょうか。退任願いの一筆でしかないものを信用しろと言うのですか?

3.11の対策もそっちのけで政党問わず「菅降ろし」を叫び、野田内閣が誕生したと思ったら、またぞろ小沢新党だ、大連合だと百家争鳴。1年持たない日本の政権と本気で語る国などあろうはずがない。こんな政党政治に淡い期待を持つことは、もうやめるべきではありませんか。

庶民による新しい政治を!

「国民の生活が第一」よくもぬけぬけと言えたものですね、小沢さん。国民を舐めてはいけません。

小沢新党は、国会議員としての経験が浅い当選1回議員(いわゆる小沢チルドレン)が6割以上を占めている、迷い言をならべるだけで何の生産性も無い集団で、彼ら新米議員の選挙対策と、国から支給される年額50億円(国会議員一人当たり年額1億円)を親分の小沢氏が分配するために作られた党でしょう。

「脱原発」「反消費増税」、私も同感ですが、貴方と一緒にデモする気にはなれません。貴方と党員50人の脱原発デモを見てみたい。私は零細企業のオヤジですが、遅ればせながら、少数の社員たちとデモに出ます。

インターネットがもたらす大量の知識や情報に満ち溢れている現代社会では、政党の綱領やマニフェストには、もはや人心をまとめる力はありません。

派閥政治・政党政治の後にどんな価値観に基づく政治が始まるのか、次回の小欄で私見を述べます。私のぼけ話に、どうかお付き合いを。

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