岐阜市長へ送付した手紙

2004年4月20日

岐阜市長 細江茂光様

株式会社希望社
代表取締役 桑原耕司

公募型指名競争入札の中止、および入札参加条件の再検討の申立て

1.申立ての趣旨

平成16年4月9日に岐阜市が公告した以下2件の公募型指名競争入札を中止し、その入札参加条件を再検討するよう求めます。

A.西郷小学校校舎増築主体工事 B.則武小学校校舎増築主体工事

2.申立ての理由

(1)申立てに至る経緯

1.平成16年4月9日、岐阜市から以下2件の公募型指名競争入札の公告がなされました。
A.西郷小学校校舎増築主体工事
B.則武小学校校舎増築主体工事

この入札公告の「2公募型指名競争入札に応募できる資格及び条件」の中には、
(1)共同企業体の各構成員に関する事項として、
3)申込書提出期限時において、岐阜市発注の請負金額4,500万円以上の建築工事を受注し施工する者 (共同企業体の構成員を含む。)でないこと、という昨年度までの入札にはなかった新たな条件が付されていました。

2.当社は、この条件につき疑問を持ったため、4月15日に岐阜市役所行政管理部契約室に伺い、このような条件を付した趣旨(目的)についての説明を求めました。

これに対し契約室は、「建設業者の受注機会を均等にすることを目的とした処置である。」と回答されました。

また契約室は、この条件によって今回の入札に参加できない会社は3工事(JV2工事、単独1工事)に関わる5社であるとの情報を提供されました。

3.この回答に対して、当社は以下の理由で納得がいきませんでしたので、本申立てを行った次第です。

(2)契約室の回答に対する意見

1.契約室の言う「建設業者の受注機会を均等にすること」とは、同じ会社に何度も受注させることを避け、今まで受注できなかった会社に受注させることであると思われます。

しかし、今回のような条件設定(申込書提出期限時に4,500万円以上の建築工事を施工中でないこと)では、実質的に排除される会社は、多くの会社のうちのわずかにすぎないであろうことは明白であり、その目的が果たされるものであるとは到底考えられません。(例えば、「一定以上の金額の工事を一定期間受注したことがない」というような条件であれば、相当数の会社が対象から排除されることが予想され、上記の目的に沿ったものであると考えらなくもないですが……。)

2.今回の案件において入札参加を排除されるのはわずか5社であり、そのうち2社は当社および株式会社丸泰(「北東部コミュニティセンター及び岐阜北消防署三輪出張所建築主体工事」JV)です。

他の3社のうち1社は、X社でありますが、この工事(某大学附属薬局建築主体工事)は97.3%の落札率で受注されております。また、他の2社が受注した工事名およびその落札率は把握できておりませんが、岐阜市発注の建築工事の落札率が極めて高いことから考えれば、同様の数字であることが推測されます。

※岐阜市ホームページによれば、平成15年度における建築工事の落札率の平均は全69件で93.9%、また、97%以上の落札率で発注された工事件数は39件(56.5%)である。但し、予定価格(税抜き)が1,000万円以上の工事27件についてみると、落札率平均は96.6%、また、97%以上の落札率で発注された工事件数は24件(88.8%)である。

同様に、予定価格4,500万円以上の工事(7件)のうち当社・滑ロ泰JVが落札した工事を除くと、落札率平均は98.2%であり、すべての工事が97%以上の落札率で発注されている。

このような現象は、業界団体による調整(いわゆる談合)が日常的に行われていることを強く推定させるものである。

すなわち、これら3社は、調整によって順番に受注していく談合システムによって受注したものであり、今回公告された工事について落札しようとする意思があるとは考えられません。

これらのことから、今回の公告に記された条件は、実質的に特定の会社(当社および株式会社丸泰)を入札から排除しようとしたものである疑いが強いと思われます。また、この条件が今年度になってはじめて設定されたものであることも、この疑いを強くする理由であります。

(3)入札参加条件の再検討を求める理由

1.上記のとおり、問題にしている条件は「建設業者の受注機会を均等にすることを目的とした処置」ではなく、むしろ入札の公平性を著しく阻害するものであります。

2.また、公告の条件で入札が実施されれば、結果として業界団体による調整的入札を市が擁護することになり、従来どおりの極めて高い落札率(97%以上か)で発注が行われることが予想されます。

これに対して、この条件を撤回し入札機会が公平に与えられるならば、入札が競争的に行われ、70%代での発注が可能になります。これにより、多大な工事費の軽減が図られることは言うまでもありません。

3.申立ての真意と今後の対応について

私は、私利私欲のためにこの申立てを行っているのではありません。岐阜市においても取り組まれているであろう入札制度改革・行政改革が真に実のあるものになるよう、願っているからであります。

申立ての内容をご理解いただき、申立てに対する回答を5月7日までにいただきますよう、お願い申し上げます。

なお、今回公告された入札が中止されない時は、この入札条件を決定した機関とその構成員を開示するよう要求し、その機関に対して、形式的で官僚的な通り一辺倒でない回答を求めていくつもりです。

以上